マルチステップのモニターと制限
ステップモニター
ステップモニターは、角度制限やトルクなど、指定に従って締め付けが達成したことを検証する際に使用されます。各ステップには必須ステップモニターとオプションのステップモニターがあります。必須のモニターは、新しいステップをマルチステッププログラムにドラッグするときに含まれます。オプションのモニターは柔軟に設定でき、必要に応じてマルチステッププログラムに配置できます。各ステップには、それぞれ最大 8 つのモニターを設けることができます。
次のモニターは、マルチステップ締め付けプログラムに追加されているすべてのステップに自動的に追加されています。
ステップモニター | 適用可能なステップ |
---|---|
角度 | すべて |
ピークトルク | すべて |
PT – ピークトルク
このステップモニターは、監視中に達した、オーバーシュートを含む最大トルクを測定し、それが上限と下限の間にあることを確認します。
SOT – シャットオフトルク
シャットオフ点は、ステップがその目標に達する点です。ステップモニターのシャットオフトルクを使用すると、トルクはシャットオフ点で測定され、上限 と 下限 の間にあることが確認されます。
SOC - シャットオフ電流
シャットオフ点は、ステップがその目標に達する点です。ステップモニターのシャットオフ電流を使用すると、電流はシャットオフ点で測定され、上限 と 下限 の間にあることが確認されます。
TRD – トルクレートと偏差
このステップモニターは、トルクと角度の比であるトルクレートを測定して確認します。計算されたトルクレートは次に、上限 と 下限 で定義されているトルクレート制限内にあるかどうかについて確認されます。
パラメータ | 説明 | 図中 |
---|---|---|
TorqueStart | AngleStart が開始されるトルク | Tstart |
TorqueStop | トルクの測定が停止されるトルク。 | Tstop |
AngleStart | AngleStart が TorqueStart から測定されている場合は、トルクの測定が開始されます。 | Astart |
AngleStop | トルクの測定を停止する角度点。 | Astop |
下限 | 定義されている最低トルク。 | TRL |
上限 | 定義されている最高トルク。 | TRH |
パラメータ | 説明 | 図中 |
---|---|---|
TorqueStart | AngleStart が開始されるトルク | Tstart |
TorqueStop | トルクの測定が停止されるトルク。 | Tstop |
AngleStart | AngleStart が TorqueStart から測定されている場合は、トルクの測定が開始されます。 | Astart |
AngleStop | トルクの測定を停止する角度点。 | Astop |
下限 | 定義されている最低トルク。 | TRL |
上限 | 定義されている最高トルク。 | TRH |
A – 角度
このステップモニターは、監視シーケンス中に達したピーク角度、ピークトルクの角度、シャットオフ角度、終了角度を測定し、それが上限と下限の間にあることを確認します。角度の測定は、監視シーケンスの開始または終了時に開始されるか、指定されている場合は、トルクがトリガートルクを初めて超えると開始されます。
PTCA – ポストスレッドカット角度
監視中に達した角度を測定し、指定の角度制限内であることを確認します。トリガトルクレベルは、スレッドカット角度ウィンドウの終了に達するまで無視されます。その後、測定トルクがトリガトルクを超えると同時に角度の測定が開始されます。停止条件のパラメータは、角度測定が終了する時点を指定します。
PTCPT – ポストスレッドカットピークトルク
オーバーシュートを含む、監視中に達した最大トルクを測定し、それがトルク制限内であることを確認します。すべてのトルク値は、スレッドカット角度ウィンドウの終了に達するまで無視されます。
TAW – 角度ウィンドウのトルク
モニターは、角度ウィンドウの長さのすべてのトルク値がトルク制限内であることを確認します。角度ウィンドウは、トルクが初めてトリガトルクを越える時点から、開始角度で始まります。トリガートルクが設定されていない場合、開始角度はモニターステップの開始時に開始します。すべてのトルク値はトルク制限内である必要があるので、両方の限度を超える場合があります。この場合、角度ウィンドウのトルク高エラーが優先され、結果に表示されます。角度ウィンドウの終了に達しない場合、モニターのステータスは NG になります。
PVTH – ポストビュー平均トルク高
角度ウィンドウの長さのすべてのトルク値は、トルクの上限より小さくなければなりません。角度ウィンドウは、シャットオフ点から逆方向に開始角度に設定された角度で開始します。これは、角度ウィンドウ長さで逆方向に設定された角度にまで及びます。開始角度が空白の場合、角度ウィンドウはシャットオフ点で開始します。モニターに使用されるトルク値は、サンプル数について計算される平均トルク値に基づきます。ステップの合計角が、開始角度と角度ウィンドウの長さの合計より小さい場合、モニターは NG を報告します。
PVTL – ポストビュー平均トルク低
ポストビュー平均トルク高のモニターと同様ですが、このモニターは角度ウィンドウの長さのすべてのトルク値がトルクの下限より大きいことを確認します。
YA – 降伏からの角度
降伏点の検出後に角度が監視されます。降伏点は、トルクと角度距離測定を基に計算されるトルク勾配を監視して検出されます。角度距離パラメータは、指定されたジョイントのハードさに応じて設定されます。
SSD - スティックスリップ検出
このステップモニターは、ステップ中のスティックスリップ効果を検出し、報告します。検出は、トルクがトリガレベルを下回った回数を数えることによって行われます。回数が 最大振動数より大きい場合、スティックスリップエラーが報告されます。モニターは、動的と固定の 2 つのモードで動作します。このモード間の違いは、トリガレベルの計算方法です。
動的トルク:トリガーレベルは、監視中に到達した電流の最大トルクのピークトルクパーセンテージとして動的に計算されます。監視は、トルクがトリガートルクを越えると同時に開始されます。
固定トルク:トリガーレベルは、ユーザーの指定する固定されたトリガートルクです。このモードでは、パーセンテージは必要ありません。
トルクがトリガートルクに達しない場合、モニターは開始されず、ステータスは NG になります。
PrT - プリベリングトルク
モニターはウィンドウの長さでプリベリングトルク値を計算し、それがトルク制限内であることを確認します。角度ウィンドウは、シャットオフ点から逆方向に開始角度に設定された角度で開始します。これは、角度ウィンドウ長さで逆方向に設定された角度にまで及びます。開始角度が空白の場合、角度ウィンドウはシャットオフ点から始まります。計算されたプリべリングトルク値は、ウィンドウ長さ中の平均値またはピークトルク値です(ユーザーが設定したパラメータによります)。計算された値は、測定されたプリベリングトルクの結果データとして保存されます。トルク補正をオンに設定すると、測定されたプリベリングトルクが、連続ステップのすべてのトルク結果値から減算されます。以前に計算されているプリベリングトルク補正値は、トルク結果値からは減算されなくなります。トルク補正がいいえに設定されている場合、連続ステップで減算は行われません。
ステップの合計角が、開始角度と角度ウィンドウの長さの合計より小さい場合、モニターは NG を報告します。
プリべリングトルクは、測定値の平均として、またはピークトルクで測定できます。これら 2 つのモードの間で選択するには、[値の使用] パラメータを平均トルク (平均値の場合) またはピークトルク (ピーク値の場合) に設定します。
Ti – 時間
監視中の経過時間を測定し、時間制限内であることを確認します。時間の測定は、モニターの開始時に開始されるか、トリガトルクが指定されている場合は、監視中にトルクがトリガトルクを初めて超える時に開始されます。
Cl - クリック
クリックトルクとクリック角の結果を有効にするためのモニターです。このモニタには設定がなく、MWRのステップでのみ使用できます。
制限
予期しない事態が発生した場合に確実に締め付けを停止させるために、マルチステップ締め付けプログラムに制限を追加することができます。これらの制限では、例えば、最大トルクに達していないことや、マルチステップ締め付けの一部の実行に時間がかかりすぎないことをテストできます。各ステップには独自の必須ステップ制限とオプションのステップ制限があります。必須制限は、新しいステップをマルチステッププログラムにドラッグすると設定されます。すべてのステップには、それぞれ最大 4 つの制限を設けることができます。
次の制限が、マルチステップ締め付けプログラムに追加されているすべてのステップに自動的に追加されています。
ステップ制限 | 適用可能なステップ |
---|---|
ステップ制限の最大時間 | すべて |
ステップ制限の最大トルク |
|
ステップ制限の最大角度 |
|
Ti – 最大時間
時間を確認する制限です。最大限度に達すると、ツールは直ちに停止します。
A – 最大角度
角度を測定する制限です。測定した角度が最大限度に達すると、ツールは直ちに停止します。角度は制限の開始から測定されるか、指定されている場合は、ステップ中にトルクがトリガートルクを初めて超える時に開始されます。
パラメータ | 説明 |
---|---|
トリガートルク | 指定されている場合、これは角度が測定されるトルクです。 |
最大限度 | この限度に達すると、ツールは直ちに停止します。 |
T - 最大トルク
この制限はトルクを確認し、測定されたトルクが最大限度を超えると、ツールは直ちに停止されます。
CTh – 食違いネジ
この制限は、トルクが開始トルク (T1) を超える時点から、トルクが終了トルク (T2) を超える時点までの角度を確認します。開始トルク (T1) から測定される角度が、最大角限度 (Amax) より高い場合、ツールが直ちに停止します。
トルクが終了トルク (T2) を超えると、測定された角度が最小角限度 (Amin) と比較して確認されます。角度がこの制限より低い場合、ツールは直ちに停止します。
RT - トルクの無効化中
この制限はトルクを確認し、測定したトルクがトルクの無効化限度を下回るとツールは直ちに停止され、プログラムは最後にジャンプします。制限が有効になるには、トルクはトルクの無効化限度の 110 % を超える必要があります。
ケーブルツールには角度のトルクの無効化を選択するオプションがあります。この制限は、パーセンテージと限度未満の時間の 2 つのパラメーターで制御されます。パーセンテージは、最終ピークトルクからの下方誤差を設定し、限度未満の時間はその誤差の期間(5~500 ms)を設定します。両方の条件(設定された期間の示されたパーセンテージ以下)が満たされる場合にのみ、プログラムが中断され、最後にジャンプします。
TG - トルク勾配
この制限は勾配を確認し、それが勾配限度の範囲外の場合、ツールが直ちに停止され、プログラムは最後にジャンプします。最初の勾配は、トリガトルクに達した後に計算される角度ウィンドウで、新しい勾配は、新しいトルクと角度のサンプルが使用できるようになるたびに計算されます。
トリガートルクを越える前にステップの最後に達すると、この制限は OK とみなされ、締め付けエラーは報告されません。
TCD - トルクと電流の偏差
制限は、該当するトルクに変換されたすべての電流測定が、トルクトランスデューサで測定された実際のトルクからの差が最大偏差であることを検証します。制限は、ステップ中にトルクが初めてトリガトルクに達すると開始され、ステップがその目標に達するまで有効です。
トリガトルクに達しない場合は、モニターは OK を報告します。
TAW – 角度ウィンドウのトルク
この制限は、角度ウィンドウの長さの測定されたトルクがトルク制限内であることを確認します。測定されたトルクが限度範囲外の場合、ツールは直ちに停止し、プログラムは最後にジャンプします。角度ウィンドウの長さは、トルクが初めてトリガートルクを越える時点から、開始角度で開始されます。トリガートルクが設定されていない場合、開始角度は制限の開始時に開始されます。
角度ウィンドウの長さの終了に達しない場合、制限のステータスは NG になります。