マルチステップ締め付けのはじめに

マルチステップ締め付けとは、複数のステップで行われる締め付けです。ステップ数およびステップのタイプは、行われる締め付けに応じて異なります。

たとえば、車にホイールを固定している5本のボルトを締め付けるには、通常多くのツールを使用してマルチステップの締め付けを並行して実行します。締め付けが正しく行われていることを確認するために、すべてのツールが同期して動作し、ほぼ同時に同じトルクに達するようにする必要があります。

こうした同期が確実に行われるようにするため、マルチステッププログラムでは同期点が使用されます。同期点で、各ツールは停止します。すべてのツールが同期点に到達すると、ツールは次の同期点に到達するまで次のステップに進みます。

同期点間のステップ数は柔軟で、1から10までが可能です。それぞれ異なるツール間で実行されてるマルチステップ プログラムを、同期点間で同数のステップ数にする必要はありません。マルチステップ締め付けプログラムは高度な構成が可能で、異なるマルチステッププログラムの実際のレイアウトは、それぞれ大きく異なる可能性があります。

例:マルチステップ締め付けプログラム

Pos

 

A

ステップ1と2で、ツールをボルトにはめ込みます。

B

ステップ3で高速ランダウンが行われます。

C

ステップ4と5では、実際の締め付けを実行します

D

ステップ6を使用してボルトからソケットを外します。

制限
制限は、予期しない事態が発生した場合に確実に締め付けを停止させるために使用します。これらの制限では、例えば、最大トルク設定に達していないかどうか、またはマルチステップ締め付けの一部の実行に時間がかかりすぎないかどうかをテストできます。各ステップには、それぞれ最大 4 つの制限を設けることができます。

モニター
モニターは、締め付けが仕様に従って行われたかどうかを確認するために使用します。例えば、角度制限やトルク制限などの確認が可能です。各ステップには、それぞれ最大 4 つのモニターを設けることができます。

同期モード
同期モードでは、異なる締付けプログラムを異なるツールで同時に実行することができます。同期モードの主な機能は、同期締め付けに含めるツールを定義し、各ツールが実行する締め付けプログラムを指定することです。

不良品管理
締め付けプログラムで問題が発生した場合、プログラムは修復を実行するか、プログラムを終了させる事が出来ます。

不良品管理は次のように機能します。すべてのツールが同期点に達すると、各ツールのステータスと合計ステータスが評価されます。同期点のすべてのチャンネルがOK(正常)であれば、プログラムは次のステップに進みます。NGがある場合、プログラムは設定された動作に従って修復または終了します。